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2021年11月 5日 (金)

旅立つ準備、

 うちのおとなりにひとり暮らしの80半ばのおばあちゃんが住んでいる。お庭に大きな池があり1メートル越えの鯉が数匹いて餌をやるため庭に出てくるたび垣根越しに世間話をしたりしていた。ここ数年はちょっと痴呆がすすみヘルパーさんが朝晩とたずね、東京に住む息子さんも月の半分をお世話するために帰ってきていた。もう庭に出てくることはなく、窓越しに庭を眺める姿、目が合うとおたがい手を振り元気でいることを確認していたが、最近ではお庭に向かい手を合わせている姿をみかけていた。その陽ざしを受けながらたたずむ姿がまるで神々しく僕に気付くとまた僕に向かって合掌しながら首を垂れる姿に思わず僕も手を合わせてしまう。

 

 そんなおとなりのおばあちゃん、先日、家の中で転倒して大腿骨骨折で救急車で運ばれた。手術をしてしばらくは入院生活、おそらくその間に痴呆が進んでしまうだろう、息子さんの話では施設も考えているとのこと・・もう家に戻ることはないかもしれないと聞いてなんだかとても切なくなった。

 

 痴呆とは旅立つための準備期間という、あの世に行くためにこの現象界でのたくさんの思い出、体験、記憶などもろもろの感情の整理をしている。人間があの世に持っていけるのは想念のみ。大切な思い出をひとつひとつ大切に折りたたみ、あの世に持っていける「玉手箱」にしまう、顕在意識に溜まっていたものを選別圧縮し、潜在意識に移し替える作業をするということのようですね。そう思えば、お庭を眺めながら手を合わせ頭を垂れている姿はまさにそれだなあと今つくづく感じています。そしてもうおそらくお会いできないとおもうととてもさみしいです。

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